2009年3月23日月曜日

日本的思考回路 定額給付金

世界中が不況に見舞われる中、各国政府が様々な形で景気浮揚型の財政出動をしている。アメリカでは95%の国民が恩恵を受ける所得税減税、イギリスでもVAT(消費税)減税など。さて、日本ではどうかというと奇妙な名称のものが行われた。名称が奇妙と言うよりは根本的に勘違いしていること。英米では税金は国のものではなく元々は国民のもの。民主国家の一員としてみんなが平等な負担(所得に応じて)を負い、それを国に託して国が国民に代わって国民のための行政サービスとして使うものというのが基本的な考え方。それを返すことは国民自身のお金を返金するという意味合いがある。一方、日本では名称からもわかるが国が国民に”配給”するというあくまでも国民卑下的な印象がある。政治家、官僚の意識が変わるのはいつになることやら。残念ながら彼らが変わらない限りこの基本的な考え方は変わらない。

2009年2月17日火曜日

Where we are now

今回の不況の原因、仕組みを説明したが、今度は現状どの位置にあるかを説明していく。

ポイントは銀行の貸し出し能力。自己資本がないと貸し出しは拡大できないことはわかったと思う。貸し出しの焦げ付きから来る自己資本の目減りを止めるには自己資本を増強、注入する必要がある。方法としては銀行が誰かからお金を借りる、同じものとて株式を発行し株式市場から資金を調達する。問題は、この状況で銀行にお金を貸し出す人は少ないこと(不良債権が増えている最中は銀行の倒産リスクが大きい)、株式を発行するにも株価が半値以下になっていることに加えて株式発行を発表することにより更に株価の下落につながること。

この状況下にて銀行が放置されると自己資金が枯渇し、倒産する可能性が高まる。この切迫した状況から世界各国が銀行に公的資金を注入せざるを得なくなった。第一次の公的資金注入は終わり、これが第二次、三次に至っているところもある。現状いわゆる底なし状態。少なくとも民間ベースの資金が入ってくることが望まれるが”底なし”から"安定”にならない限り難しい。

今回の不況は現状の底なし状況からいくといつ抜け出せるかを予測するのは難しい。先に示した株式市場、円相場を目安とすると株式市場は現状高値から半値の位置にあり、円相場はドル円でみるとここ20年のレンジの80-140円幅の中で90円あたり。これらの回復状況を見ていくことにより、不況が終わりに近づいているかどうかを見る目安となる。最後に、銀行同士がお互いの余剰資金を貸借りを控える傾向はやっともとに戻りつつあるが、個人、企業への貸出へとはつながっていない。

2009年2月16日月曜日

この先どうなるか

この先どうなるかに関しては現状の問題がいかに解決されるかによる。世界恐慌でもわかるが、いつかは必ず元に戻る。ただそれにどれだけ時間がかかるかによるだけ。

それでは今回の問題とは?

一にも二にも銀行。この社会的な位置づけとして信用の創造を行っている組織が1990年代前半から2007年までの長期景気拡大期においてあまりにも安易にお金を貸しすぎた(好循環期)。当ブログ”借金天国”参照。それら銀行がこの不況期にあたり今度は借金回収に回らざるを得ない状況にある(悪循環期)。安易にお金を貸したということは多くの借金が焦げ付いている。回収を進めてもないものは回収できないわけで、それが不良債権となる。焦げ付きがおきるとそれを自己資本で穴埋めしなければならないわけであるが、それをするとするほど自己資本が減少する。自己資本は貸し出しの原資となることから(自己資本比率が決められている)基本的にはこの自己資本が回復、増加しない限り更なる金貸しは出来ない。銀行が貸し出しをしないと自動車などを買えない人々が多く発生する。ここまでは簡単にわかると思う。それでは今回が前代未聞の状況であることの説明。

90年代のバブル経済後、日本の銀行が潰れるという不安が日本中を駆け巡った時期を覚えている人は多いと思う。その時期は日本の銀行同士でさえお互いを信用できず、普段は日々行っていた余剰資金の貸し借りでさえ出来なかった。ましてやその銀行が個人、企業に貸し出すことなどできようがない。海外はジャパンプレミアムといって日本の銀行だけ他国の銀行よりか多くの金利を貸されていた時期であった。さて、今回はこれが世界規模で世界中の銀行で起きた、というとどれだけ深刻な状況か理解がつくと思う。更に状況を悪くしたのはこれが同時期に起きたということ。

原因はわかったと思う。それではこれが解決すれば経済、みんなの生活は元に戻るはずである。ここでいう”元”に戻るいうのは2007年バブル天井時期の状況へ戻ると言うことを示すものではなく、一般的にいう”普通”という意味。銀行の貸付先はほとんどが不動産。ということは不動産の値段が下がっている最中は不良債権が減らない。日本のバブル期をみてもわかると思う。現時点では米銀行が毎四半期ごとに貸し出しの焦げ付きをいまだにWrite downしているのを見るとわかる。この不動産の下落が継続すると銀行は自己資金を使って下落分を補足しなければならない状況が続く。

今回の騒ぎはアメリカが発信元。まずはアメリカでの不動産価格(個人住宅、商業用不動産)の下落が止まることが必要。それには米国株式市場がいい目安となる。ここ最近は世界株安と円高の連動性が高いので円安も1つのいい目安となってくる。

What went wrong 不景気 恐慌

世界中、不景気が毎日の話題となっている。ここで1つ覚えておいてほしいのはこの不景気の前には”長い、長い”景気が続いていたということ。景気があるからこそ、その反対の不景気というものがある。景気というのは”波”いわゆるサイクルがある。いいときは好循環、逆に悪いときは悪循環。例をあげるといいときは株価も上がり、企業も設備投資を増加、失業率は減り、給与は上がりなど、それが消費につながる。今度はその消費がフィードバックして株価が上がり、更に設備投資増加などと同じことが繰り返される。逆になると全くこの反対。ただ、逆のパターンは時間軸という観点から行くと早い。景気の先行指標として重宝される株価から見ると2002-3年で底をつけ、それから約5年かかって天井。そしてこの2002-3年の底のレベルへは1年以内に到達。

もう1つ参考になるのは物事のサイクルというのはいつも行き過ぎがつきもの。私見では今回の景気拡大はバブル。つまり行き過ぎ。先のブログを見ていただければよくわかると思う(借金天国)。その観点から今回の不景気もどこかのポイントで行き過ぎる。すでに現時点でも戦後、もしくは世界恐慌以降との比較において前代未聞のものに発展しつつあるが、各国政府の対応によっては恐慌になる可能性がある。

2008年7月14日月曜日

石油バブル 続編

今回の原油高でもう1つ不可思議なものがある。原油価格の決定方法。

一般的にCommodityというものは均一な商品として取引される。それが定義。つまり、金であれば純度を指定することにより必ず同じものを手に入れることが出来る。これらがCommodityとよばれる。麦、とうもろこしなどの農産物に関しても細部にいたるまで指定することによりCommodityとて取引することが出来る。原油もCommodityとして取引されている。

最も有名なのがNewYorkで取引される原油先物。世界中のニュースがこの値段を報道する。その効果というのはこの値段が世界中の石油価格連動型の商品に影響するということになる。これは絶大なるもの。一方、この原油先物はいったいなんであろうか?WTI先物と呼ばれ、これはWest Texasにて産油される原油に限定してCommodityとなっている。簡単に言うと、長野県原産の高原野菜(キャベツ)の値段を基準に日本中の野菜の値段が決定されているというのと似ている。Sounds stupid?

さて先に述べた”絶大なる効果”をもったWTI原油先物の値段はその絶大さから原油価格が上がる推測する投資家からの資金が流入することになる。ここで世界中のお金が長野原産のキャベツに流入すると言う状況を想像してほしい。どうなるだろうか?長野原産のキャベツには生産限度がある。その生産限度を無視した状況で資金が流入すると、仮に長野原産キャベツがCommodityとして取引されているとすると値段は上がる一方の状況になることは想像に難くない。それが現在の原油高を演出している。すべてのCommodityに共通することは値段形成が正常に行われないものは  subject to market abuse となる。価格は操作され、バブルも簡単に創出することができる。残念ながら世界中がこれにより右往左往されている。

2008年7月7日月曜日

石油バブル

ここ最近の原油高はガソリンスタンドに行くごとに感じていると思う。1年前に比べても原油価格は2倍、90年代半ばに10ドルあたりだったことを考えると15倍近くになっている。この状況をどのように考えるか?

昨年紹介した借金天国に状況は似ている。何事もバブルは付き物。今回もそのバブルの兆候が見え隠れしている。この原油高はOPEC諸国にとっては”棚ボタ”もの。過去の教訓から行くと行き過ぎた原油高は代替エネルギーの開発を加速して将来的に自分たちの首をしめることになることから、需要と供給が合うあたりの値段に持って行きたい意向が感じられるが、なにせ10年前に10ドルで売っていたものが150ドルあたりで売れるようでは、なかなか”本気で”値段を下げる気がしない気持ちはわかる。これは人間心理。ただし、欲が過ぎると(これも人間心理)必ずしっぺ返しがある。

今回の原油高の主因はドル安。原油はドルで取引されることから、ドルの絶対価値が下がるともともと使用価値のある原油は上がることになる。論理的には説明のつく動きであるが、これに全員参加型のお金の動きがくっつくと”バブル”となる。”絶対に儲かる”との信念のもとに大衆のお金が入ってくることがバブルを形成、加速、そしていつか終焉となる。終焉はいつかわからないが、わけのわからない理由の元に原油価格が250ドルまで行くとか、それ以上の値段になるということがニュースになってくると終焉は近い。ただし、最後の1人まで買いにまわり、ほとんど買っていない人間がいなくなるときまでバブルというのは終わらない。

2008年6月20日金曜日

借金天国 その後。。。

昨年、このブログにて”借金天国”を紹介した。

その後どうなっているだろうか?アメリカはその借金天国が反転、ほとんどお金を借りるすべがなくなっているようだ。イギリスも同様。お金を貸すのは銀行の仕事。銀行が借金天国に踊り、好き勝手にお金を貸したことからその反動、しっぺ返しが起きている。実際には何が起きたかというと貸したお金が返ってこない。貸したお金は期日が来るといつもは再度貸し出しの手続きをしていたところが、今度はそれをする余裕がない。実際の経済への影響というのは計り知れない。

誰でもお金が借りれた時代から一転してほとんど借りることが出来ない状況。借りるとしても以前のような低金利ではなく、借入金利がかなり上がっている。たった1年でこれだけの変化が起きていることに驚きを覚える人もいるかもしれないが、逆になぜあれだけ借金天国の状況が続いたのか不思議である。