2007年4月30日月曜日

ロンドンの日本食

1990年前半に比べるとかなりレストランの数が増えた。ほとんどはロンドン中心部、ウエストエンドに集中しているが、ここ最近は郊外にも出てきている。ところが、この日本食レストランすべてが”純”日本食レストランではない。多くは中国系の経営による。Authenticかというとそれは違う。最近日本政府か外郭団体が海外での日本食屋に認可制を始めるというのを見かけた。気持ちはわからないでもないが、はっきりいって日本のシステムを海外に持ってきても無駄。お役所の体質が全く抜けていない。やるんだったら誰かがミシュランのレストランランキングを本当の日本食という観点から始めるしかない。

わからないでもないといったのは、自分も何度ととなく日本食屋に入っては”これ日本食?”という経験があることから。日本から来た人、日本人で海外に住んでいる人、同じ経験は多いと思う。昨年バンクーバーに行ったときの印象は、中国人のすごさ。空港近くの中国人居住地区に宿を取ったがそのあたりは全くの香港。中国語しか話せない人がほとんどという以外にも、多くの中国人経営の日本食屋多くを見かけた。商売上手というか、図太いというか。しかし、自分の経験からわかったことは海外での日本食というのは”純”日本食はまずないというスタートラインから入った方がいいということ。歩きつかれて、腹も減ってついつい日本食の看板に引かれて入ってしまうが、その出されたもののひどさに毎回落胆していてもしょうがない。純日本食を守っている料理人がいるところは評価して、それ以外の日本食もどきのレストランはファストフード程度に考えておいた方がいい。

話は変わるが、中国人街というのは世界どこでもある。そこには香港そのままの生活があり、何から何まで香港そのままの生活を送ることができる。食というのはその中でも生活の中心。だからこそ、異郷の地であれ食を提供するサービスに従事することによって暮らしていけるのであろう。これだけ海外に在住する日本人も多くなってくると、今までどおりの駐在員型の滞在からこの中国人型の現地での日本食に携わる仕事をすることによって海外に暮らすことも十分可能になってくる。それによって、少しなりとも日本食屋の質が変わってくるのであれば大歓迎であるが、ややナイーブな発想かもしれない。でも、イギリスでも外人の友人から”WAGAMAMA”や得体の知れない回転寿司にいってきた。日本食はおいしいね、という話をされると何と言って言葉を返していいのかわからなくなる。彼らは満足しているようだし、それに対してあれは本当の日本食じゃない、というのもはばかれる。