2009年2月17日火曜日

Where we are now

今回の不況の原因、仕組みを説明したが、今度は現状どの位置にあるかを説明していく。

ポイントは銀行の貸し出し能力。自己資本がないと貸し出しは拡大できないことはわかったと思う。貸し出しの焦げ付きから来る自己資本の目減りを止めるには自己資本を増強、注入する必要がある。方法としては銀行が誰かからお金を借りる、同じものとて株式を発行し株式市場から資金を調達する。問題は、この状況で銀行にお金を貸し出す人は少ないこと(不良債権が増えている最中は銀行の倒産リスクが大きい)、株式を発行するにも株価が半値以下になっていることに加えて株式発行を発表することにより更に株価の下落につながること。

この状況下にて銀行が放置されると自己資金が枯渇し、倒産する可能性が高まる。この切迫した状況から世界各国が銀行に公的資金を注入せざるを得なくなった。第一次の公的資金注入は終わり、これが第二次、三次に至っているところもある。現状いわゆる底なし状態。少なくとも民間ベースの資金が入ってくることが望まれるが”底なし”から"安定”にならない限り難しい。

今回の不況は現状の底なし状況からいくといつ抜け出せるかを予測するのは難しい。先に示した株式市場、円相場を目安とすると株式市場は現状高値から半値の位置にあり、円相場はドル円でみるとここ20年のレンジの80-140円幅の中で90円あたり。これらの回復状況を見ていくことにより、不況が終わりに近づいているかどうかを見る目安となる。最後に、銀行同士がお互いの余剰資金を貸借りを控える傾向はやっともとに戻りつつあるが、個人、企業への貸出へとはつながっていない。

2009年2月16日月曜日

この先どうなるか

この先どうなるかに関しては現状の問題がいかに解決されるかによる。世界恐慌でもわかるが、いつかは必ず元に戻る。ただそれにどれだけ時間がかかるかによるだけ。

それでは今回の問題とは?

一にも二にも銀行。この社会的な位置づけとして信用の創造を行っている組織が1990年代前半から2007年までの長期景気拡大期においてあまりにも安易にお金を貸しすぎた(好循環期)。当ブログ”借金天国”参照。それら銀行がこの不況期にあたり今度は借金回収に回らざるを得ない状況にある(悪循環期)。安易にお金を貸したということは多くの借金が焦げ付いている。回収を進めてもないものは回収できないわけで、それが不良債権となる。焦げ付きがおきるとそれを自己資本で穴埋めしなければならないわけであるが、それをするとするほど自己資本が減少する。自己資本は貸し出しの原資となることから(自己資本比率が決められている)基本的にはこの自己資本が回復、増加しない限り更なる金貸しは出来ない。銀行が貸し出しをしないと自動車などを買えない人々が多く発生する。ここまでは簡単にわかると思う。それでは今回が前代未聞の状況であることの説明。

90年代のバブル経済後、日本の銀行が潰れるという不安が日本中を駆け巡った時期を覚えている人は多いと思う。その時期は日本の銀行同士でさえお互いを信用できず、普段は日々行っていた余剰資金の貸し借りでさえ出来なかった。ましてやその銀行が個人、企業に貸し出すことなどできようがない。海外はジャパンプレミアムといって日本の銀行だけ他国の銀行よりか多くの金利を貸されていた時期であった。さて、今回はこれが世界規模で世界中の銀行で起きた、というとどれだけ深刻な状況か理解がつくと思う。更に状況を悪くしたのはこれが同時期に起きたということ。

原因はわかったと思う。それではこれが解決すれば経済、みんなの生活は元に戻るはずである。ここでいう”元”に戻るいうのは2007年バブル天井時期の状況へ戻ると言うことを示すものではなく、一般的にいう”普通”という意味。銀行の貸付先はほとんどが不動産。ということは不動産の値段が下がっている最中は不良債権が減らない。日本のバブル期をみてもわかると思う。現時点では米銀行が毎四半期ごとに貸し出しの焦げ付きをいまだにWrite downしているのを見るとわかる。この不動産の下落が継続すると銀行は自己資金を使って下落分を補足しなければならない状況が続く。

今回の騒ぎはアメリカが発信元。まずはアメリカでの不動産価格(個人住宅、商業用不動産)の下落が止まることが必要。それには米国株式市場がいい目安となる。ここ最近は世界株安と円高の連動性が高いので円安も1つのいい目安となってくる。

What went wrong 不景気 恐慌

世界中、不景気が毎日の話題となっている。ここで1つ覚えておいてほしいのはこの不景気の前には”長い、長い”景気が続いていたということ。景気があるからこそ、その反対の不景気というものがある。景気というのは”波”いわゆるサイクルがある。いいときは好循環、逆に悪いときは悪循環。例をあげるといいときは株価も上がり、企業も設備投資を増加、失業率は減り、給与は上がりなど、それが消費につながる。今度はその消費がフィードバックして株価が上がり、更に設備投資増加などと同じことが繰り返される。逆になると全くこの反対。ただ、逆のパターンは時間軸という観点から行くと早い。景気の先行指標として重宝される株価から見ると2002-3年で底をつけ、それから約5年かかって天井。そしてこの2002-3年の底のレベルへは1年以内に到達。

もう1つ参考になるのは物事のサイクルというのはいつも行き過ぎがつきもの。私見では今回の景気拡大はバブル。つまり行き過ぎ。先のブログを見ていただければよくわかると思う(借金天国)。その観点から今回の不景気もどこかのポイントで行き過ぎる。すでに現時点でも戦後、もしくは世界恐慌以降との比較において前代未聞のものに発展しつつあるが、各国政府の対応によっては恐慌になる可能性がある。