2007年5月30日水曜日

中国バブル

バブルはいつかはじける。日本でも80年後半にバブルがあった。日経平均がほぼ4万円に達するまでいったが、その後は8000円台まで落ちる。バブルの定義は株価が実体経済を反映しないで上に乖離すること。バブルの原動力は個人資産。株価が実体経済を反映しているかどうかをもっとも知りえない層の投資家ということになる。日本のバブルは主婦が野菜の値段を話すことをやめて株式の話をするようになった、というのがポイント。

さて中国を見てみると現在極めて似たような状況にある。個人の資産は低金利を受けて行き所がなく、国民が総出で株式市場へ資産を投げ打っている。4月に口座開設された株式投資の口座数が過去2年間のものを越したということ。たった1ヶ月で過去2年間の数をこえるというのは尋常ではない。1年で2倍、過去3ヶ月でも30%も上昇している株価をみて、個人が大挙しているもの。経済論理で動かないのが個人投資家。上がっているものを見ると飛び乗るのが習性。どこまで続くかというのもわからないのがバブルであるが、これまでの経験上からいってすべてのサインは出ている。日本でも中国株の投資はブームと聞くが、やけどには注意。

2007年5月2日水曜日

世界送金あれこれ

先日、英国税庁主催のセミナーに参加してきた。送金業務にかかわるビジネス、イギリスではMSB(Money Service Business)という、を営む会社、個人向けのもので、欧州議会での決定事項、イギリス議会での懸案問題など幅広い意味での情報の徹底を図る意味でのものであった。イギリスなどEC諸国は欧州議会での決定事項にすべて従うことはないが、それを指針に自国でのシステムを見直したり、時には議会にその欧州議会での決定事項を通したりすることがある。ポイントはマネーロンダリング。いかにして犯罪性の資金を発見し、それらを阻止するか。

そのときの話として面白いものがあるので紹介することにする。1つはスリランカとイギリスの送金に従事する会社を経営する人から出た質問。MSBに関わる人、企業の信頼度を高めるために今年後半から経営者、株主などの経歴などを深く調査し、適さないものにはMSBの登録、許可を与えない、という趣旨のもの。自分にとっては大賛成。この業界にあり、業界の水準を高くすることは歓迎である。一方、この人から出た質問は自分の会社の経営に関わる人の経歴を調査するために地元スリランカの警察などかが発行する”Clearance"と呼ばれる証書をとらなければならない点に関しての問題。この証書は自分の犯罪歴がないことを警察が証明し、証書を出すもの。イギリスでもある。スリランカは政府と、タミルタイガーと呼ばれる独立派の対立が激しく、かつ警察における汚職も当たり前。イギリス国税庁に対して提出する書類を警察に申請しにいったところで、その証書の信頼性があるかどうかという以前の問題として多くの人が”帰らずの人”となってしまう可能性があるということだった。つまり、この証書を取るための賄賂を拒むと殺されてしまう可能性があり、かといって賄賂を払ってもらった証書にどれだけの信頼性があるかということであった。スリランカに限らず、この手の国はたくさんある。イギリスのように多数の民族が暮らす国はそれだけ祖国との送金があることになる。送金は2国間のもの。2つの政府が関わることで、すべてがイギリスが考えたようにはいかないという一例。

もう1つも似ている。マネーロンダリングはテロリストが良く使うもの。ところがこのテロリストの定義が英国税庁側からもはっきりしていない。ジンバブエではムガベという大統領がいて独裁者。民主主義を唱える野党は反政府のレッテルを貼られテロリストとも呼ばれることがある。この野党に関する送金を扱ったときに、イギリスの一般的な民主主義の考え方からいくと彼らはテロリストとはならない。一方、ジンバブエではテロリスト組織として扱われるとしたら、送金を扱う時点でどれを基準に判断したらいいのか?ということだった。国税庁の人もそれに関してはすぐに答えが出なかった。