2007年7月28日土曜日

移民について

移民といっても2つある。1つは合法的なもの、2つ目は違法。イギリスでは違法、合法含めて問題になっている。それは確固とした移民政策がなく、国境でのコントロールがないことから。

まずは違法移民。

イギリスではAsylum seekerと、国際色あふれるsocietyのなかに紛れ込むものがある。前者は亡命というが、政治的な亡命ではなくほとんどが経済難民。アフリカなどからのものが多い。このAsylum申込みから決定までの期間は住む場所、小遣い銭などがもらえるので多くの難民がこれを悪用している。チェックのシステムも甘く、同じ人間が何度も偽のパスポート、偽名を使っているのがBBCのドキュメンタリーで放映されたりした。後者は中国人、EUに参加していない東欧諸国、アフリカなどからイギリスに入り込むトラックの中に紛れ込んで入ってくる。いずれにせよこの数をめぐって論議が重ねられるが誰も正確な数字はつかめていない。これもボーダーコントロールがまったく利いていないことから。

ここ最近フォーカスの中心は合法移民。これは新たにEUに参加した東欧諸国からの人たち。EUは基本的にどこに住んでもいい。ただし国が当初ある程度の制限をかけることが出来る。ただし10年間かけてそれをすべて撤廃することが必要。フランスなどは東欧諸国がEUに参加したときにこの制限条項を設けたが、イギリスは全く設けなかった。そして唯一の英語国、かつさまざまな人種が既に交じり合っている国であることもあいまってこれらの国からの移民が殺到。ポーランドからは2百万ともいえる数が入り込んできている。政府発表の統計では20万人らしい。問題は彼らが集まってくる場所。一挙にそれだけの数の人間が入ってくると学校、地方自治体などが対応に困惑する。学校にはまったく英語の話せない子供たちがある時期に一挙に押し寄せる。その他公共のサービスを提供する側にも同じ。さらに状況を悪くしたのは今年頭にEU入りしてきたブルガリアやルーマニア。ここからの”難民”のような人たちも殺到している。だいたいが国際色溢れるロンドン近郊に住み着いている。

2007年7月19日木曜日

イギリス変り話

意外と知られていないことにイギリスには二重国籍を持つ人間が多い。二重国籍といってもパスポートを2つ持っていることである。

日本ではこの二重国籍を認めていないので仮に日本人がイギリス国籍を取得したときには日本の国籍を捨てることになる。”国籍”という言葉を使用しているので何か大変なことのような響きがあるかもしれないが、実際には便宜上の市民権取得という点から多くの人がイギリスのパスポートを取得している。イギリスに住んでいながらイギリスのパスポートがないと、外に旅行するごとに通関で質問される。永住ビザをもっていてもそうである。空港でも日本の観光客が並ぶ列の中に並んで全く同じ扱い。イギリスパスポート保有者は別のラインから質問なしでどんどん入国処理される。この煩わしさからイギリスのパスポート(国籍)をとっている人がほとんど。多いのは中東、ロシアなど旅行上さまざまな制限のある国々の人。日本のパスポートは先進国どこでもビザ協定を結んでいて3ヶ月は問題なく滞在できるが、それ以外のパスポート保有者はいまだに旅行ビザ取得が必要であったり面倒なことが多い。そのほかイギリスパスポートがないと市民権が認められず、イギリスに何十年も住んでいてもまったく参政権が認められない。政治は自分の生活に深くかかわってくる。そのときの政権によって税、法などが自分に有利、不利になったりする。それに対して参政権が認められていないというのはなんといってもむなしい。

さてここ最近イギリスとロシアで外交上の小競り合いが続いている。それもこの二重国籍に関係があるのである。今年ロシアの前KGBスパイがロンドンで暗殺された。暗殺に使われたのは放射線物質。聞いただけでも恐ろしい。調査の結果、犯人はロシアのこれもまた前KGBスパイと判明。ロシア人がスパイ同士の殺し合いであれば、外交上はさして問題はなかったかもしれない。ところがこの暗殺されたスパイが二重国籍保有者となると事は別。つまり、イギリス人扱いとなる。これもおかしいところだが、どう考えても彼はイギリス人じゃない。イギリスに在住している期間も短ければ、イギリスとの関連性も薄い。イギリスは過去に結構簡単にイギリス国籍を取得できた。イギリスとの由縁などなしにイギリス国籍の安売りはここにあるように奇怪な状況に発展しえる。最近不法入国者が多く、ビザのシステムなども見直しがなされているが、このイギリス国籍取得のシステムも大きく変わってくるのも時間の問題。

最後に国家安全保障上の問題。イギリスパスポート保有者といいながら、実質イギリス人ではない人たちがイギリスパスポートをもって他国を自由に旅行できる。実質的なアイデンティティーを隠して他国に渡ることが出来る。特にアメリカなどにとっては脅威。テロリストの国々のバックグランドをもった”イギリス人”が多く、最近アメリカではイギリス人への旅行ビザを再開する動きがある。

2007年7月11日水曜日

Fools market

世の中には”そんなバカな!”ということがある。その中のひとつが現在の円安。実際に円を元にして海外で暮らしている人が最もhard hitされている。

以前に中国のバブルに関して記述したことがある。その記事を出してから中国の株価が1000ポイント下落した(4300⇒3300まで約1/4)。そのときのBlogも見てほしい。さて、経験則からいって主婦が野菜の値段の変わりに株価の話をするようになったときがバブルの疑いが高い。ここ最近の円安で似たような状況が目に映るようになってきた。アメリカのハイテクバブルの時に似ている。その当時アナリストが株価の高さを正当化する指標が一切なくなってしまい(PERなど)、さまざまな指標が”発明”された。後から見るとこれが間違いの元。アナリストが迷走状態になった証拠である。この円安で最近目にする、耳にするようになったことは為替のアナリストが”現在の円安は日本の主婦、おじいちゃん、おばあちゃん貯金の行方次第”というコメントを出すようになってきたこと。購買力平価からいっても既にポイントを超えているし、かといってそれを越えたところでこの円安が止まるかどうかが全くわからないことからこのようなコメントになっている。つまり、日本の主婦が外貨預金買い、外貨投信買いをやめない限りこの円安がいつピークになるか全くわからないのである。アナリストもお手上げ状態。いくら冷静に考えてもおかしいことでも続くことがある。それが現在の円安の状況。