2007年11月1日木曜日

移民流入 イギリス人流出

移民の問題はすでに大きな社会問題となっている。移民があたえる好影響、悪影響を論じる前に実際の数字から影響を見ることが出来る。

1.英国の刑務所内の外人比率 1対7
2.英国の労働人口に占める外人比率 1対8
3.海外に居住する英国人の比率 1対6

この数字からわかることは犯罪という面においては、全くもって移民は悪影響となっていること。労働を目的に入ってきている人口比率以上に刑務所にお世話になっている数が多いことがそれを示す。それも単に表に出ている数字のみでそうであるということは、実質的には犯罪含めかなりの数に達することになる。この刑務所内の外人比率の多さは、もう1つ重要な影響を与えている。それは、ただでさえ刑務所不足が叫ばれている中、移民からの犯罪者を収容する必要性から凶悪犯を早期に釈放していること。殺人犯として20年の刑を受けた人間が6年で出ているなど。普通に考えても信じがたい実態が浮かび上がる。これが社会に与える影響としてはそれら釈放された凶悪犯が再犯すること。再犯率も高いということが言われている。

つまり、イギリス人にとって見ると英語もたどたどしい人間が以前に比べて格段に多くなっている反面、それら英語がほとんど話せない移民を受け入れる社会基盤ベースが整っていない実態が浮かび上がる。結果としては公共のサービスなどにしわ寄せが来る。いい例は学校など。クラスの半数以上が英語が全くわからない子供たちを相手に今までどおり英語で教師が話しても学校が運営できないなど。その他の自治体サービスもその通り。通訳や、特別の施設を設けるなどが必要となり、その分既存のサービスが低下する。イギリス人にとっては凶悪犯が早期釈放され、自分が受けていた公共サービスが低下し、隣人など近所の顔ぶれが大きく変わってしまうなど、いいことがない。昨日発表された政府統計だと1998年から創造された仕事の半分以上が移民にいっていることがわかった。これもその数字だけを見るとイギリス人の職を奪っているように見える。それは労働人口の8人に1人のはずの比率が、実にここ10年間で半分以上の仕事をとっているから。実際にはイギリス人がやらないような仕事についているケースが多いことから、本来それほど影響はないはずであるが、数字だけ見ると世間の判断はちがってくる。

イギリス人が流出している数字が大きくなってきていることが裏付けられる。6人に1人が既に海外で暮らしているということになっている。これら数字はイギリス全体の統計。ロンドンだけを取り上げるとこれら数字がもっと大きな比率となるに違いない。

2007年10月25日木曜日

イギリスの呼び名

日本では英国はイギリスと決まっている。ところが、実際にイギリスに住んでみるといくつかの呼び方がある。あまり気にしないですごしていると思うが実はそれぞれ使い方に意味がある。

England

これはイギリス国内ではScotland, Wales, Northern Irelandの中の1つとして呼ぶときに使う。ロンドンはこのなかではEnglandの中にある。いわゆる東北地方、関東、関西などのようなもの。イギリスから外に出るとEnglandといってもイギリスを指すことがある。日本で英国を指すときもこのEngland(イギリス)が使用される。

G.B

Great Britainのこと。England, Wales, Scotlandをまとめてこの言い方を使う。つまり、日本で言う本州のようなもの。Northern Irelandは知っての通り違う島。英語でイギリス人のことをBritishというのはここからきている。Northern Irelandはイギリス領土であっても彼らはBritishとは言わない。あくまでもIrishである。

U.K

最後にすべてまとまったものがこの呼び方。United Kingdom。先にあげたEngland, Wales, Scotland, Northern Irelandのすべてをさしてこの言い方を使う。

せっかくイギリスに長期滞在するために来た人はこれらの違いを頭に入れておきましょう。

2007年10月12日金曜日

Hinariって何?

特に観光客がそうであるが異郷の地に来て日本の企業なのどの名前などが広告されているとついつい指を刺して見つけたことを喜んでしまうもの。さて、イギリスに住んでしばらくすると気づくことがある。日本語であるが日本人がやっているものかどうかわからないものが多いこと。

ここであげたHinariというのは電化製品販売店にいくと目に付く。日本語の響きがある。かといって日本のメーカーかというとそうではない。海外では日本の電化製品に対しての信頼が高い。それを”悪用”してマーケティングとして会社の名前を日本語のような名前にして製品を生産する。そのほかMikomiという名前の会社もある。同様のマーケティング戦略。全く日本のメーカーではない。残念ながら日本人を馬鹿にされたような印象を受ける。このほかイギリスにある日本レストラン、すし屋なども実は多くが中国系の人間によって経営されている。長く住むとどれがそれにあたるかわかるようになるのでそこには行かない。日本人が期待するようなものを食べることが出来ない。カツどんといってもカツどんの味がしない。すしといってもひどい握りよう、使っている米が違うなど。イギリス人はそれがわからないので日本食レストランとして行って、時に知り合いの日本人に”おいしかった”などの感想をもらすことがあるが、日本人としてそれを否定していいものかどうか迷うことがある。本人が満足しているわけだから。これも先の日本モドキの電化製品会社と同じ印象を隠せえない。

これもそれも日本のものが海外でメジャーになってきたということの表れかもしれない。Victim of own success ということばが英語であるが、それにあたるのかも。

L と R

題名を見てもピンと来ないかもしれない。ただ、イギリスなど英語圏に住んでいる人は”ああ、LとRね”とわかるかもしれない。

日本人にとって英語を話す段になって全くわからないといわれているのがこのLとRの発音。生まれつき話していないとわからないと言う人もいる。確かにずっと日本に暮らしていたら全くわからないまま一生が終わってしまうかもしれないが、イギリスに暮らしている人はあきらめるのは早い。気をつけて聞いていると会話の中でもじきにわかってくる。1-2ヶ月でわかるとは言わない。2-3年はかかるが”気をつけて”聞いていることが肝心。これに関しては自分の経験上いえる。この気をつけて聞いている時期を過ぎるとLとRが会話の中ではっきりわかる。その間できることとしては何かわからない単語を聞いたときにその中のアルファベットがLかRか明確でないときにはすぐに辞書を引く。辞書は正確なスペルがないとわからないので、Googleなどを活用する。大体のスペリングを打ち込むと間違っているときはその候補を出してくれる。

特にイギリスで留学を始めた人などはあきらめずに取り組んでほしい。卒業するまで問題なく聞けるようになると思う。LとRが違うだけで意味が全く違ったものになるし、逆に自分が話す段になっても全く同じ。時に相手がびっくりするようなことを話しているということに陥ってしまいかねない。努力することによって解決できるのであればその努力をしてみることが解決の第一歩。

2007年8月31日金曜日

アメリカとイギリスの違い 金融危機編

ここ最近市場を騒がしてきたアメリカの住宅ローン問題がきっかけとなった世界中の金融危機。アメリカとイギリスでは対応が”全く”違うので紹介しておきたい。これは文化上の相違、政治のシステムなど根本的な違いがあることを示す。

ポイントは”モラルハザード”といわれるもの。無鉄砲な住宅ローン貸出しを行った金融機関、それを利用して返済能力がないのに住宅を購入した人々、どちらをとってみても常識的には考えられない。ビジネス慣習から言っても考えられない。つまり、自分で勝手に無茶をした人々を救う必要があるかどうかが問題となる。それを救済することを”Bailout”という。救済するのは政府、中央銀行。いずれも国民の税金が元。救ってしまうと何がおきるかというと、将来的にも同じようなことをする人間が出てくることを意味する。救ってもらえることがわかっているのだったら無茶したっていい、という考えを助長する。一方、救わないとどうなるか。学習効果が生まれる。同じ人間は二度と同じ間違いを起こさなくなる。それでは救う、救わない、どちらがいいかというと自ずとわかる。イギリスは昔から確固とした態度を崩したことがない。中央銀行は有名な老舗ベアリング銀行が1人のトレーダーが無茶なトレードをしたことによりつぶれかけた時に一切救済の手を差し伸べなかった。その前にも一切救済の例がない。アメリカはというと1998年に似たような金融危機が起きたとき、そのきっかけとなったLTCMというヘッジファンドを救済した。つまりBailoutした。中央銀行に当たる連銀が直接的に資金を提供したとか、国が救済したということはないが、積極的に債権者に働きかけさらなる資金の注入を促し、Bailoutを影から支えた。この事実から言って実質的には連銀がBailoutしたことになる。

今回の対応を見てもよくわかる。アメリカは大統領まで出てきて住宅ローンの焦げ付きを起こしている人々を救済策を発表。イギリスはというと中央銀行がイギリスの銀行がこのアメリカの住宅ローン関連の負債が元で運転資金不足に陥ったときに”ペナルティー貸出し”を利用できることを明示したのみ。通常の貸出金利より高いペナルティーを払って借りてください、という態度をとる。そのほかは一切なにもおこなっていない。世界のそのほかの国はどうかというと、ドイツは既に問題のある金融機関に資金を注入。ドイツも昔から国が救済の手を差し伸べる傾向がある。

2007年8月10日金曜日

借金天国

ここ最近株式市場などが急落している。意外と知られていないのがその原因。いろいろ取り上げられているが究極的には世界的な”借金天国”が崩れていることによる。

引き金はアメリカの住宅ローン。まったく返済能力のない人間に住宅ローンを貸し付ける。覚えている人は日本のバブルの時期に似ていることがわかる。銀行が競争して不動産ローンを貸し付けた。全くローンのいらない人にまで貸し付けたじきである。結果はどうなるかは常識的に考えてもわかる。その常識的にわかることがおきただけ。実は借金天国はこのアメリカの住宅ローンだけに限らない。例を挙げるとM&Aと呼ばれる企業の買収。これは通常買う側の株式、その資産を利用して行われるのが通常であるが、なにせ借金天国であったことからこれを借金を通じて行っていた。株式市場が下落すると借金にて買い付けた会社の”価値”が急落する。自ずと貸し付けた銀行がその後の貸付を渋る。その他に、有名なアメリカの投資銀行などは従業員に自社の運営するファンドへの参加をインセンティブをもって呼びかけた。そのインセンティブとはただ乗りの借金。100万円分のファンドを更に100万円貸し付けて200万円分買わせた。更に元本保証。多分かなりの従業員がこれに乗ったはず。これも借金天国の時期のみにおきうること。最後の例。世界的な為替の売買ブーム。日本でも外貨預金を通して多くの人がこの為替売買に関係している。一般的な意味での為替売買とは証拠金取引。証拠金取引とは100万円で1億円の取引をすること。つまり9900万円は借金。これも借金天国。みんな円を借りてそのほかの高金利通貨を買っている。しかし、ここで見落としているのはリスク。借金はいつか返済しなければならない。円安が継続的に続いている最中は全くその必要がないが、一時期でも2%程度円高に振れると大変なことになる。何が大変かというと100万円でかりた1億円が9800万円にしかならなくなる。つまり100万円足りなくなってしまう。もともと100万円しかないわけであるから本来であれば1億円など借金するほうが”気が違っている”わけだが、なにせ借金天国、みんなが同じ事をやっているのでついつい手を出してしまったというのが本音であろう。実際に誰も1億円を100万円に対して貸してくれなければそんなことにはもともとなっていないはずである。しばらく続いた円安もここ最近急激な円高に豹変。2週間弱で約6%の円高。昨日からみても7円以上円高(約3%)。借金しているひとたちがみんな売却して返済を強いられている。あまりにも多くの人が同じことを行っていたのでその分だけ円高のスピード、幅は誇張される。

現在起きているのはこの世界的な借金天国の修正。どこまで修正が続くかが問題。既にアメリカの住宅ローン会社はいくつか倒産。ドイツ、フランスなどでも銀行の倒産がうわさされている。

2007年7月28日土曜日

移民について

移民といっても2つある。1つは合法的なもの、2つ目は違法。イギリスでは違法、合法含めて問題になっている。それは確固とした移民政策がなく、国境でのコントロールがないことから。

まずは違法移民。

イギリスではAsylum seekerと、国際色あふれるsocietyのなかに紛れ込むものがある。前者は亡命というが、政治的な亡命ではなくほとんどが経済難民。アフリカなどからのものが多い。このAsylum申込みから決定までの期間は住む場所、小遣い銭などがもらえるので多くの難民がこれを悪用している。チェックのシステムも甘く、同じ人間が何度も偽のパスポート、偽名を使っているのがBBCのドキュメンタリーで放映されたりした。後者は中国人、EUに参加していない東欧諸国、アフリカなどからイギリスに入り込むトラックの中に紛れ込んで入ってくる。いずれにせよこの数をめぐって論議が重ねられるが誰も正確な数字はつかめていない。これもボーダーコントロールがまったく利いていないことから。

ここ最近フォーカスの中心は合法移民。これは新たにEUに参加した東欧諸国からの人たち。EUは基本的にどこに住んでもいい。ただし国が当初ある程度の制限をかけることが出来る。ただし10年間かけてそれをすべて撤廃することが必要。フランスなどは東欧諸国がEUに参加したときにこの制限条項を設けたが、イギリスは全く設けなかった。そして唯一の英語国、かつさまざまな人種が既に交じり合っている国であることもあいまってこれらの国からの移民が殺到。ポーランドからは2百万ともいえる数が入り込んできている。政府発表の統計では20万人らしい。問題は彼らが集まってくる場所。一挙にそれだけの数の人間が入ってくると学校、地方自治体などが対応に困惑する。学校にはまったく英語の話せない子供たちがある時期に一挙に押し寄せる。その他公共のサービスを提供する側にも同じ。さらに状況を悪くしたのは今年頭にEU入りしてきたブルガリアやルーマニア。ここからの”難民”のような人たちも殺到している。だいたいが国際色溢れるロンドン近郊に住み着いている。

2007年7月19日木曜日

イギリス変り話

意外と知られていないことにイギリスには二重国籍を持つ人間が多い。二重国籍といってもパスポートを2つ持っていることである。

日本ではこの二重国籍を認めていないので仮に日本人がイギリス国籍を取得したときには日本の国籍を捨てることになる。”国籍”という言葉を使用しているので何か大変なことのような響きがあるかもしれないが、実際には便宜上の市民権取得という点から多くの人がイギリスのパスポートを取得している。イギリスに住んでいながらイギリスのパスポートがないと、外に旅行するごとに通関で質問される。永住ビザをもっていてもそうである。空港でも日本の観光客が並ぶ列の中に並んで全く同じ扱い。イギリスパスポート保有者は別のラインから質問なしでどんどん入国処理される。この煩わしさからイギリスのパスポート(国籍)をとっている人がほとんど。多いのは中東、ロシアなど旅行上さまざまな制限のある国々の人。日本のパスポートは先進国どこでもビザ協定を結んでいて3ヶ月は問題なく滞在できるが、それ以外のパスポート保有者はいまだに旅行ビザ取得が必要であったり面倒なことが多い。そのほかイギリスパスポートがないと市民権が認められず、イギリスに何十年も住んでいてもまったく参政権が認められない。政治は自分の生活に深くかかわってくる。そのときの政権によって税、法などが自分に有利、不利になったりする。それに対して参政権が認められていないというのはなんといってもむなしい。

さてここ最近イギリスとロシアで外交上の小競り合いが続いている。それもこの二重国籍に関係があるのである。今年ロシアの前KGBスパイがロンドンで暗殺された。暗殺に使われたのは放射線物質。聞いただけでも恐ろしい。調査の結果、犯人はロシアのこれもまた前KGBスパイと判明。ロシア人がスパイ同士の殺し合いであれば、外交上はさして問題はなかったかもしれない。ところがこの暗殺されたスパイが二重国籍保有者となると事は別。つまり、イギリス人扱いとなる。これもおかしいところだが、どう考えても彼はイギリス人じゃない。イギリスに在住している期間も短ければ、イギリスとの関連性も薄い。イギリスは過去に結構簡単にイギリス国籍を取得できた。イギリスとの由縁などなしにイギリス国籍の安売りはここにあるように奇怪な状況に発展しえる。最近不法入国者が多く、ビザのシステムなども見直しがなされているが、このイギリス国籍取得のシステムも大きく変わってくるのも時間の問題。

最後に国家安全保障上の問題。イギリスパスポート保有者といいながら、実質イギリス人ではない人たちがイギリスパスポートをもって他国を自由に旅行できる。実質的なアイデンティティーを隠して他国に渡ることが出来る。特にアメリカなどにとっては脅威。テロリストの国々のバックグランドをもった”イギリス人”が多く、最近アメリカではイギリス人への旅行ビザを再開する動きがある。

2007年7月11日水曜日

Fools market

世の中には”そんなバカな!”ということがある。その中のひとつが現在の円安。実際に円を元にして海外で暮らしている人が最もhard hitされている。

以前に中国のバブルに関して記述したことがある。その記事を出してから中国の株価が1000ポイント下落した(4300⇒3300まで約1/4)。そのときのBlogも見てほしい。さて、経験則からいって主婦が野菜の値段の変わりに株価の話をするようになったときがバブルの疑いが高い。ここ最近の円安で似たような状況が目に映るようになってきた。アメリカのハイテクバブルの時に似ている。その当時アナリストが株価の高さを正当化する指標が一切なくなってしまい(PERなど)、さまざまな指標が”発明”された。後から見るとこれが間違いの元。アナリストが迷走状態になった証拠である。この円安で最近目にする、耳にするようになったことは為替のアナリストが”現在の円安は日本の主婦、おじいちゃん、おばあちゃん貯金の行方次第”というコメントを出すようになってきたこと。購買力平価からいっても既にポイントを超えているし、かといってそれを越えたところでこの円安が止まるかどうかが全くわからないことからこのようなコメントになっている。つまり、日本の主婦が外貨預金買い、外貨投信買いをやめない限りこの円安がいつピークになるか全くわからないのである。アナリストもお手上げ状態。いくら冷静に考えてもおかしいことでも続くことがある。それが現在の円安の状況。

2007年6月28日木曜日

プライバシーの考え方

プライバシーに対しての考え方、認識は各国で大きな違いがある。



イギリスはプライバシーに関しては各自の基本的な権利としての認識があり、それに反する取り扱いには激しい反発がある。なにせ、この国では身分証明書を持ち歩く必要もなく、提示を求められても拒否できる。実際には身分証明書として使えるものがないこともある。政府が911のあとに身分証明書の導入を計画したが、ことごとく反対にあっていまだに導入されていない。これに関しては個人の自由Civil libertyへの考え方の違いが影響している。一方、アメリカはどうかというと、はっきり言ってプライバシーのカケラも感じられない。Social security numberという背番号をつけられ、この番号に各自の本来プライベートな情報がくっついている。銀行で口座を開くにも、時に買い物をするにも聞かれる。アメリカで生活している人も特別意識もなく、Social security numberを聞かれるとそれに対して疑問もなく答えているのであろう。銀行などを利用するときに本人確認としてよく聞かれる。

911後に発効されたテロ関連法もアメリカとイギリスでは対照的である。アメリカはその法律を”Patriot act”という呼び名をつけた。つまり、それに反対することは愛国的ではない、という反感を買う可能性がある。反対しにくいような呼び名の法律を作り、ここで取り上げている個人のプライバシーの侵害を合法的なものとした。イギリスでも同様の法律が出来たが呼び名はその通り”anti-terrorism law"。個人のプライバシー、自由の侵害に関してかなりの論議が重ねられた。結果、アメリカに比べてかなり後になってから発効する。そして、一部時限立法となるなど、かなりの制限が課せられた。

民主主義を掲げる国々も曲がり角に差し掛かっている。これまで当たり前として憲法上保証されていた”自由”も実質的に制限がかかるようになってきている。裁判の基本となる”疑わしきは罰せず”も先にあげた法律制定により、実際に犯罪が行われる前、立証される前に罰せられることになる。テロというのは人の心に住み着くもので、その点難しい面がある。しかし、実際に確率という面から自分がそのテロに巻き込まれる可能性を考えると交通事故にあうより低い。そのために自分がどれだけの自由を犠牲にしているかよく考えてみる必要がある。

2007年6月8日金曜日

海外移住 年金編

まだ働き盛りで海外移住を考えているときは年金も頭に入れておく必要がある。引退した後の年金がどうなるかを現時点で把握しておかないとそのときになってからでは遅い、ということがありえる。

日本は違うがかつての植民地で暮らすイギリス人には大きな年金問題がある。年金受給は海外でも出来ることになっているが、その年金受給額が本人がイギリスを出たときのレベルで凍結されてしまう。つまり、1960年にイギリスを出た人は、その後カナダなどのかつての植民地で年金受給を始まっても1960年レベルの年金しか手に入らないということ。仮に1960年の月当たりの年金支給額が100ポンドとすると2007年の現時点で年金として受け取れるのも100ポンド、ということ。これが同じひとでイギリスにずっと住んでいたとすると毎年のインフレ分だけ2007年まで調整された額、500ポンドなどの年金支給ということになる。これは冗談ではなく本当にある話。ひとつの余談としてあげるが知らなかったでは済まない。

海外に出る前に自分が日本の年金分として払い込んだ分のほか、今度海外で働いた際に払い込む年金分もいつ、どれだけ支給されるのか、その受給資格がどのような形で生まれるのかを確認する必要がある。海外で就職先が決まったからといって大喜びでいっても、思わぬ誤算が生まれることもある。年金というのは現時点でもらっている給与から支払われる。そしてそれが将来的に自分が引退の年代に入ったときに支給されることになるもの。本来、自分の就職先の給与と合わせて現在価値ベースに直し、かつそのときはその国の税制までも勘案した上で計算したいものである。

日本からの資金逃避

資金逃避というのは実際に国境を越えるものと越えないものがある。国境を越えるとその後の資金の動きは日本に戻ってこない限り日本当局のレーダーからは消える。国境を越えないものの典型は外貨預金。外貨預金は日本の銀行内で円になったりドルになったりするがその中からは出ない。

ここ最近日本から国境を越えるタイプの資金逃避が続いていると聞く。典型はオフショアでの銀行口座開設に伴うもの。その銀行口座開設をすることによってその口座を元にクレジットカードが使える、日本でお金が引き出せるなどの便利性を伴い人気が高いものだとおもう。一般の人は国境を越えてオフショアなどで開設した銀行口座の資金総額が1億円を越えない限り、外為法上の申告義務がない。しかし、日本の税法上の申告義務が免れることと勘違いしている人が多い。税法上は日本に住んでいる限り海外どこから発生した所得に関しては報告義務がある。ところが、実際問題いったん外為法上で申告義務のない国境を越えてしまった資金は日本に戻ってこない限りわからないため、たとえばその金利、キャピタルゲインなどを税申告している人は皆無状態。かといって、その資金を使えないかというと先に示したようにクレジットカード、それを元に日本でATM引き出しが出来るので”実質的に”国内に資金を戻しているのだが、その戻ってくるルートが出て行ったときと違うため”見えない”。このようなシステムをLoopholeという。つまり、逃げ口と訳すことがある。Loopholeはいつか閉じられる。それまでこれらオフショアへの資金逃避は続くことになる。

為替屋HPが日本語で書かれているせいか、日本からこれら資金逃避型の円⇒ポンドの問合せが絶たないが、為替屋はイギリス在住の日本人向けのサービスであり、イギリス在住者に利用を限定している。しかし、今後も問合せは続くことだろう。

海外暮らしの手引き 健康編

海外で暮らすことになるとまずは健康面の体制をしっかりしておくことが必要。これは体を鍛えるということではなく、病気になったときへの準備ということ。

たとえば長期で海外に来る前に日本で海外医療保険に入っておく。ただし、持病や2回目の治療(怪我以外)などはそれも持病として保険ではまかなわれない。この点は気をつける必要あり。イギリスを例に取ると基本的に医療はタダであるが、これには穴がある。タダには理由があるということ。重大な病気になろうと待ちリストがあり、癌であろうがなんであろうが自分の順番が来ないと医者に会うことが出来ない。中には途中で死亡する人も多い。かといってプライベート医療というと高額であると同時に、場合によっては1ヶ月近く待つことになる。緊急性があるものは医者が会ってくれるケースもあるが、国民医療が基本的にタダであることから、医者が病院に常駐していない。医療コンサルタントとしてその病院を利用させてもらっているのが実情。したがって、あそのこの病院にいくとこの医者がいるということは必ずしもない。プライベートで有名なロンドン街中のHarley streetというところも、これら医療コンサルタントがオフィスを借りて集まっているだけ。ほとんどが医療施設というのがない。つまりCTスキャンとかがその場所にない。必要時には医者からこれこれの場所に行って検査をして帰ってきてください、といわれる。死にそうなときにはそんな余裕はない。したがって、イギリスに来るには覚悟がいることを言っておく。アメリカはどうかというとすべて一部を抜かしてすべてプライベート。これもかなり高額。保険もそれなりに高い。それを頭に入れたほうがいい。カナダはイギリス型の無料医療であるがこれも待ちリストがある。

2007年6月6日水曜日

夢の海外暮らし

海外暮らし、もしくは長期滞在というのが日本で流行と聞く。不思議ではない。海外旅行が80年代の円高にのって大幅に増え、バブルに乗って日系企業の海外進出も増え、海外の紹介番組なども増え、目に付くものとして煌びやかに映るものである。誰もが一度は暮らしてみたいと思うのも然り。

しかし

実際の生活という点から行くとそれほど簡単ではない。夢の前にReality checkが必要。この夢を抱えるのは若い世代から老年代までと幅広い。老年代とまでは行かないまでも自分のあたりの年代からの視点にたって、それらをチェックすることにする。

言葉 

英語がほとんどと思う。英語圏以外でも英語が共通語ということには変わりない。どれだけこれが必要かということはツーリスト経験だけじゃわからない。英語が出来ないのであれば日本語のサービスが充実している国に行くしかない。先進国の大都市ということになる。自ずと生活コストは高い。ましてそこで生活を始めるにしても全くベースがないことから、銀行口座を開くにもてまどうことになる可能性あり。駐在員のように会社が全部面倒を見てくれるわけではないので、それらは自分でやらなければならない。そのためにも言葉は必須。甘く見てはいけない。

生活

生活といっても日本と違う。家もない。借りるしかない。そのために日本人向けの不動産業者はいるが貸すのは現地の人間。その人が貸すかどうかを判断する基準はあなた自身の信用度。日本のように大企業に勤めていてそれをバックに住宅ローン、クレジットカードなどの申込みをするのとは違って、全くCredit historyのない人が異郷の地で住宅を借りるということは、まずひどいものを高い値段で借りるか、高いものをさらに高い値段でしか貸してもらえない。日本で外人がアパートを借りることを考えるといい。その貸し手が自分だったらどうかということ。次に足の確保。車が先決。イギリスは右通行だがほかは左。足がないとどこへもいけない。買い物だってそうである。国際免許をとってきてそれを使うか、本格的には日本の免許を現地のものへ書き換えて使うかのどちらか。車を買うにもその分大金を持ち歩くわけには行かない。銀行が必要となる。銀行も同じ理由で簡単には開けない。銀行口座開設で聞かれるのは現住所、そこにどれだけ長くすんでいるかなど。つまり、海外にすぐに渡ってきた人にはかなりハードルが高い。

健康管理

つまりは病院。普段は適当な英語を話せる人でも病気のときはまったく困るときがある。つまり英語が違う。医者が話す英語は日本風に病名を聞いたら大体ぴんとくるようなものではない。ラテン語から起因するものがほとんどなので10年以上住んでいても慣れないと何のことやら全くわからない。自分でどこが悪いかを説明するにも普段の英語ではよく伝わらない。このあたりが”ジクジク”痛いとか。英語でなんていっていいのか。しかしそれを正確に伝えないと生死にかかわることさえある。先進国、大都市には日本語の通じる病院があるが、これも落とし穴。緊急時は現地の病院に救急車で運ばれる。風邪だけならいいが、それ以外緊急性があるときは大変。大丈夫だろうと思っていても何か起きてからでは遅い。長期に滞在するとするほどこれらに出くわす確率は高くなる。考えておかなければならないことの1つ。

年金

日本での年金の支払いやら、現地の国での税金のことなど。資産がある人はそれほど複雑なことが多い。長期滞在して(大体半年以上)になると国によっては納税者登録が必要となる。そして国によっては全世界の所得申告を求められる。つまり、日本で所得があろうが、そのほかであろうが申告義務が発生する。義務が発生するということはそれを全うしないと国によっては刑務所行きとなる。

教育

子供がいるときは教育が第一の悩みの種となる。私立にいかせるのであれば頭さえあれば問題ない。ここでいう私立というのは、程度の低い私立ではなく名門私立のこと。それ以外は公立にいくしかない。先進国といえど公立は一般的には教育のレベルが低い。日本の最近低いと聞くが、さらにその倍悪いと思っていたほうがいい。当然、住んでいるところで行く学校が決まる。いいところに住めばいい学校がある。先にあげた理由から、すぐにいいところに住めれば問題ないが、それ以外だと親として結構大変。

考え付いたものを書き記したが、今後も同じような題材で書き足していくことにする。

2007年6月1日金曜日

イギリスの面白いところ

イギリスというのはほかの先進国に比べて面白いことがある。何が面白いかはそれぞれ個人で違うと思うがここで取り上げるのは首相になる人。7月にブレアからブラウンへの首相交代があるが、この2人にも共通点がある。トニーブレアは在任中に子供が生まれた。これは4人目の子。ブラウンも在任中に子供が生まれた。首相としていわゆるよちよち歩きのToddlerがいるというのはほかの先進国のトップにはない。だからと思うが教育には2人とも強い関心を持ち、子供の世話をしなければならない片親、両親に対する政策に関しても革新的な政策を実施に移してきた。一方、トーリー(保守党)の党首(首相となりえる最も近い野党の党首)も小さな子供が3人いる。うち1人は身体障害者。彼の政策もGrowing familyを抱える英国の中心的な労働者にとって助けとなるものを提唱している。当然、野党として現状の政策を批判することはあるとしても最終的な目標は類似している。すべては自分たち自身が日常の実体験を元に自分たちにあった政策を提唱することが国民にとってもプラスであるという点には変わりない。日本のすでに人生終わってしまったような老輩政治家が政策をたてるのとは大きな違いがある。彼らの実体験は遥か昔、今の若者、中心的な労働者たちが何を言ってもそれが伝わりにくい。

もう1つトニーブレアのこと。彼は首相を辞してから改宗するらしい。英国はプロテスタントが主流。彼もプロテスタント。ところが今度はカトリックに改宗するということ。首相であるうちは改宗したかったができなかったらしい。これには北アイルランド問題などが絡んで自分自身が難しい立場にあったからであろう。歴史的なマイルストーンとして今年この北アイルランド問題が決着した。この北アイルランドの問題は知ってのようにイギリスにとってはテロとして影響してきた。私も1991年からロンドンに住んでいるが何度となくテロの現場を目撃し、自分も危うく逃れるような状況に接してきた。世界の紛争が宗教性を増す中、ここ最近多くの若者も宗教心を取り戻しているらしい。大体、世界が不安定になるとその傾向が増す。これは不思議ではない。昔から宗教というのは人間の不安心理を助けるために発展してきたし、逆にそれがなければ宗教ということ自体生まれていないだろう。面白いのは一国の首相が改宗するという点。ほかの先進国トップが改宗するだろうか?まず考えられない。だからこそユニーク。そのユニークさで過去10年以上イギリスのトップとして国を引っ張ってきたのがトニーブレア。彼の指導の元ここ10年イギリスは大きく様変わりした。

2007年5月30日水曜日

中国バブル

バブルはいつかはじける。日本でも80年後半にバブルがあった。日経平均がほぼ4万円に達するまでいったが、その後は8000円台まで落ちる。バブルの定義は株価が実体経済を反映しないで上に乖離すること。バブルの原動力は個人資産。株価が実体経済を反映しているかどうかをもっとも知りえない層の投資家ということになる。日本のバブルは主婦が野菜の値段を話すことをやめて株式の話をするようになった、というのがポイント。

さて中国を見てみると現在極めて似たような状況にある。個人の資産は低金利を受けて行き所がなく、国民が総出で株式市場へ資産を投げ打っている。4月に口座開設された株式投資の口座数が過去2年間のものを越したということ。たった1ヶ月で過去2年間の数をこえるというのは尋常ではない。1年で2倍、過去3ヶ月でも30%も上昇している株価をみて、個人が大挙しているもの。経済論理で動かないのが個人投資家。上がっているものを見ると飛び乗るのが習性。どこまで続くかというのもわからないのがバブルであるが、これまでの経験上からいってすべてのサインは出ている。日本でも中国株の投資はブームと聞くが、やけどには注意。

2007年5月2日水曜日

世界送金あれこれ

先日、英国税庁主催のセミナーに参加してきた。送金業務にかかわるビジネス、イギリスではMSB(Money Service Business)という、を営む会社、個人向けのもので、欧州議会での決定事項、イギリス議会での懸案問題など幅広い意味での情報の徹底を図る意味でのものであった。イギリスなどEC諸国は欧州議会での決定事項にすべて従うことはないが、それを指針に自国でのシステムを見直したり、時には議会にその欧州議会での決定事項を通したりすることがある。ポイントはマネーロンダリング。いかにして犯罪性の資金を発見し、それらを阻止するか。

そのときの話として面白いものがあるので紹介することにする。1つはスリランカとイギリスの送金に従事する会社を経営する人から出た質問。MSBに関わる人、企業の信頼度を高めるために今年後半から経営者、株主などの経歴などを深く調査し、適さないものにはMSBの登録、許可を与えない、という趣旨のもの。自分にとっては大賛成。この業界にあり、業界の水準を高くすることは歓迎である。一方、この人から出た質問は自分の会社の経営に関わる人の経歴を調査するために地元スリランカの警察などかが発行する”Clearance"と呼ばれる証書をとらなければならない点に関しての問題。この証書は自分の犯罪歴がないことを警察が証明し、証書を出すもの。イギリスでもある。スリランカは政府と、タミルタイガーと呼ばれる独立派の対立が激しく、かつ警察における汚職も当たり前。イギリス国税庁に対して提出する書類を警察に申請しにいったところで、その証書の信頼性があるかどうかという以前の問題として多くの人が”帰らずの人”となってしまう可能性があるということだった。つまり、この証書を取るための賄賂を拒むと殺されてしまう可能性があり、かといって賄賂を払ってもらった証書にどれだけの信頼性があるかということであった。スリランカに限らず、この手の国はたくさんある。イギリスのように多数の民族が暮らす国はそれだけ祖国との送金があることになる。送金は2国間のもの。2つの政府が関わることで、すべてがイギリスが考えたようにはいかないという一例。

もう1つも似ている。マネーロンダリングはテロリストが良く使うもの。ところがこのテロリストの定義が英国税庁側からもはっきりしていない。ジンバブエではムガベという大統領がいて独裁者。民主主義を唱える野党は反政府のレッテルを貼られテロリストとも呼ばれることがある。この野党に関する送金を扱ったときに、イギリスの一般的な民主主義の考え方からいくと彼らはテロリストとはならない。一方、ジンバブエではテロリスト組織として扱われるとしたら、送金を扱う時点でどれを基準に判断したらいいのか?ということだった。国税庁の人もそれに関してはすぐに答えが出なかった。

2007年4月30日月曜日

ロンドンの日本食

1990年前半に比べるとかなりレストランの数が増えた。ほとんどはロンドン中心部、ウエストエンドに集中しているが、ここ最近は郊外にも出てきている。ところが、この日本食レストランすべてが”純”日本食レストランではない。多くは中国系の経営による。Authenticかというとそれは違う。最近日本政府か外郭団体が海外での日本食屋に認可制を始めるというのを見かけた。気持ちはわからないでもないが、はっきりいって日本のシステムを海外に持ってきても無駄。お役所の体質が全く抜けていない。やるんだったら誰かがミシュランのレストランランキングを本当の日本食という観点から始めるしかない。

わからないでもないといったのは、自分も何度ととなく日本食屋に入っては”これ日本食?”という経験があることから。日本から来た人、日本人で海外に住んでいる人、同じ経験は多いと思う。昨年バンクーバーに行ったときの印象は、中国人のすごさ。空港近くの中国人居住地区に宿を取ったがそのあたりは全くの香港。中国語しか話せない人がほとんどという以外にも、多くの中国人経営の日本食屋多くを見かけた。商売上手というか、図太いというか。しかし、自分の経験からわかったことは海外での日本食というのは”純”日本食はまずないというスタートラインから入った方がいいということ。歩きつかれて、腹も減ってついつい日本食の看板に引かれて入ってしまうが、その出されたもののひどさに毎回落胆していてもしょうがない。純日本食を守っている料理人がいるところは評価して、それ以外の日本食もどきのレストランはファストフード程度に考えておいた方がいい。

話は変わるが、中国人街というのは世界どこでもある。そこには香港そのままの生活があり、何から何まで香港そのままの生活を送ることができる。食というのはその中でも生活の中心。だからこそ、異郷の地であれ食を提供するサービスに従事することによって暮らしていけるのであろう。これだけ海外に在住する日本人も多くなってくると、今までどおりの駐在員型の滞在からこの中国人型の現地での日本食に携わる仕事をすることによって海外に暮らすことも十分可能になってくる。それによって、少しなりとも日本食屋の質が変わってくるのであれば大歓迎であるが、ややナイーブな発想かもしれない。でも、イギリスでも外人の友人から”WAGAMAMA”や得体の知れない回転寿司にいってきた。日本食はおいしいね、という話をされると何と言って言葉を返していいのかわからなくなる。彼らは満足しているようだし、それに対してあれは本当の日本食じゃない、というのもはばかれる。

2007年3月21日水曜日

投資対象としての為替 外貨預金

投資の対象となるものは金融資産だけとは限らないが、ここでは金融資産の中での為替を考えてみることにする。外貨預金がこれに当たる。

金融資産として一般的に投資対象となりえるには、一にも二にもに流動性(換金性)。流動性のないものは正当な価格形成が阻害される。為替はその点、流動性に富む。次に考えるのは投資としてどれだけのリターンがあるか。このリターンというのはインカムゲイン、キャピタルゲインの両方を合わせたトータルリターン。簡単に説明すると、インカムゲインは金利収入、キャピタルゲインは元本の値上がり(値下がりも十分ありえる)。これの点においても為替は投資対象となる。つまり、為替自体が投資の対象として十分な素質を備えていることになる。
株式投資と比較してみてはどうであろうか?違いはデフォルトリスク(倒産リスク)。株式の場合は個別の会社の倒産リスクを負うことになる。一方、為替のデフォルトリスクはどうであろうか?その外貨を発行している国が倒産することがデフォルトリスク。実際には為替取引は対外貨であることから、その国の外貨支払能力がこのリスクとなる。とはいえ、国は倒れない。必要であればお金を刷ることができる。それが株式投資との大きな相違点。

株式の方がリスクが高いことがこれで明確になると思う。

それでは次に投資を考える時に指標となるずRisk&Rewardを説明する。リスクが高いほどリターン(Reward)が高くないと、誰も投資対象として見向きもしない。これは当然のことであるが、投資判断をするにあたり意外と忘れている人が多きことも確か。株式に投資するには当然リターンがかなり高くないとリスクとつりあわないことになる。ポンドに関してみるとここ2-3年は株式市場と同じ程度のリターン。特に、トータルリターンで見ると株式市場の1%以下の配当(為替の金利に当たる)に対しポンドは5%近い金利が大きく影響する。ポンド預金への資金の流れはうなずけることになる。リスクが小さくてリターンが同じ程度。普通では考えられないこと。これがずっと続くかというと歴史的に見てもそれはありえないし、リスク調整したリターンとしても考えられない。それが今後の為替投資のポイントとなってくる。

外貨預金を取り上げているがポンドの預金金利は5%半ば。これがポンドの本来のインカムゲイン。日本での外貨預金はこれほどの金利を払っているところがあるだろうか?答えはNo。5%半ばの金利とその差は銀行の懐に入っている。もう1つ、外貨預金を始める、閉じる時に必要な円⇔ポンド時の為替レートが次のハードル。一般的にeach way 2%程度ここでとられる。つまり、1年して4%の金利をもらい、始めた時と同じ為替レートで閉じるとすると、元本が4%減っていることになり、金利ゼロの投資となってしまう。だから、変換するときの為替レートが重要となってくる。日本からオフショアの外貨預金へ資金が逃げ出していることもうなずける。

2007年3月20日火曜日

商品市況と為替レート

商品市況とは穀物、資源などの市場。たとえば、小麦、とうもろこし、原油、金、銅など。

これらのものと為替レートがどんな関係があるのだろう? と思う人がいるかもしれないが、実は密接な関係がある。原油高はすでにご存知だと思う。1990年前半の$10から昨年の高値$80までほぼ一直線の上げ。他の商品市況も同じようなパターン。上げ一方。背景は中国の経済成長から来る需要。これはうなずける理由だと思う。ここで説明するのはこの中国の経済成長ではなく、これら市況の値段の動きと為替レートの関係。

すでに為替レートは米ドル中心に取引されていることを紹介した。世界の基軸通貨として米ドルが使われるということはその通貨を介して世界の商品が取引される。穀物、資源は米ドルで値段が決まり取引される。原油が1バレルあたり$80ドル、といったように。米ドルのレートが上下推移する一方、これら商品市況の価格に関しては”絶対的な価値”というのが存在する。使途がハッキリしているから。ここ最近は実需に基づいたこの商品市況の値段がある一方で、ドルは財政赤字、貿易赤字などから売られる(価格を下げる)。ドルは各国の通貨に対して相対的に下げる一方、商品市況は絶対的な価値、実需から本質的な値段が下がらない。この結果、米ドルで値段が決められる商品市況は値段が上がることになる。

ドルが下げると下げるほど金、銀、銅、原油、とうもろこしなどが上がる。

気が付いた人がいるかもしれないが、米ドル資産を持っている人は(株式、不動産、その他証券など)、ドルの価値の目減りを防ぐ為に金を買っている。理由は簡単。ドルが売られると(ドル資産の価値が下がると)、金の値段が上がるから。ドル資産の値下がりが中和される。

これがヘッジと呼ばれるもの。

2007年3月19日月曜日

為替証拠金取引と外貨預金

最近よく聞く為替証拠金取引。

銀行がこの取引を行うケースも出てきているから。しかし、外貨預金とは大きく違う点を心得ておいてほしい。株式取引を経験した人であれば”信用取引”という言葉の方が馴染みがあると思う。証拠金取引というと言葉ではよく分からないかもしれないが、一言で言うと 為替の投機である。投機とは投資と違い短期の売買益目的の売買。外貨預金もその一面はあるという人がいるかもしれないが、為替証拠金取引の大きな違いは10万円で1000万円の売買をしてしまうこと。外貨預金は10万円だと10万円分しか外貨が買えない。10万円が10%自分に不利に動いても1万円の損失だが、このケースにおいて為替証拠金取引は100万円の損失となる。1万円と100万円。これをとって100倍のレバレッジという。レバレッジとは”テコの原理”のこと。このレバレッジは20-200倍の幅。

2000年前半日本でもこの為替証拠金取引が大活況。一方、リスク開示がほとんど全く無視されていた。1998年外為法改正を逆手に取り、誰でも為替売買と称しこの証拠金取引が始められた。先に述べたように、これは外為法がカバーする範囲の為替取引ではない。やっとこのレバレッジトレードの投機性が明るみに出たころにはかなりの人が大やけどをする。結局、先物と同じ登録をしないと扱えなくなる。しかし、ときすでに遅し。日本の消費者保護の体制不備が明るみにでる。私自身、早いうちから警鈴を鳴らしていた。

2007年3月14日水曜日

為替レート分析方法 テクニカル分析

先に購買力平価で為替レートがどんな位置にあるかを推測する方法を紹介しました。経済学者じゃなくても、ごく普通に一般常識から為替レートを判断することが出来ます。今回紹介するのは、もう1つごく一般人が為替レートを判断する為に使用することが出来るもの、”テクニカル分析”。

テクニカル分析の定義は

過去の値動きを分析することによって、将来の値動きを推測するもの

つまり、為替レートの折れ線グラフのことです。そしてこのグラフをチャートといいます。したがって、ここからはチャートという言葉を使用します。このチャートは過去の為替レートの動きを視覚化したもの。数字として羅列することも出来ますが、それでは視覚的にどのように推移してきたのか判断することが難しく、便宜上チャートにしています。チャートにすることにより過去のデータを数値としてしか使用できない、という枠を飛び出ていろいろなことが可能となります。例えば

上昇基調にあるとき、その基調に沿った上昇のラインを引くことが出来る

下降基調にあるときは、その基調に沿った下降トレンドラインを引くことが出来る

上昇、下降基調が全く認められないときはある一定の幅で動いているとき そのレンジを認識することが出来る

為替マーケットは大きく分けて3つ。上昇、下降、そのどちらでもない。これらの動きの基調をチャートから見出すことができます。

クロス通貨取引とは

主要通貨のドル中心の取引体制(すべてではないが)、対ドル以外の通貨との取引を

クロス取引

と呼ぶ。円を例に取るとポンドとの取引はクロス取引に当たる。何故これをクロス取引というかというと、通常2つの取引を行うことによりポンドと円の取引が可能になるから。説明すると

ポンドを円に対して買う時
対ドルで円売り(円売り米ドル買い) ここでできた米ドルを利用して
対ポンドで米ドル売り(米ドル売りポンド買い)

このように、2つ主要通貨取引を(米ドルを通して”交差”して)行うことにより可能となることからクロス取引(交差)となずけられている。

主要通貨と為替売買の仕組み

主要通貨とは通常ポンド、ユーロ、円、豪ドル、カナダドル、スイスフランをさす。取引量が多いものをさすということになる。あまり為替になじみのない人は”米ドルは?”という質問がでるかもしれない。実は、この主要通貨というのは”対米ドル”で取引される通貨であり、米ドルはすべての主要通貨で取引されていることになる。

円を例にとって見よう。円は円単体では存在しない。他の通貨との相対的価値としてしか存在し得ない。それを取引するのが円の外国為替取引であり、最も取引量が多いのが対米ドルとうことになる。為替の世界では円の対ドル取引を

USD/JPY

という表示であらわす。前半、後半2つの通貨が別々に表示されているが、前半部分が取引通貨、後半部分がその取引によって生じる損益通貨ということになる。今回も円を例にとってみると売買は110円で1万ドル分、ドルを買い付けたとする。その後為替レートが100円になったとき、ドルを売ったとすると

110円 ドル買付け1万ドル 買い付けに使った円 110万円

100円 ドル売却1万ドル 売却で得られた円 100万円 

つまり、110万円が100万になった計算となり、ここでは-10万円と円の損益が生じる。すべての通貨の表示方法は 取引通貨/損益通貨 となるので覚えておくといい。
さて、先に所要通貨は対ドルで取引されているということをはなしたが、これには2方式ある。

1.円のように1ドル買うのに110円という取引方法と

2.ポンドのように1ポンド買うのに1.92米ドルという取引方法

1.2明らかに全く反対の方法。これは歴史的なものが背景となっている。かつてはポンドが世界の基軸通貨、ドルはその後の新興通貨として現在では基軸通貨となっている。ポンド全盛の時代が先にあり、したがって”ポンドを買うにはドルがいくら必要”というポンド主導型の取引方法から始まっているのである。これと同じ方法で取引されるのが豪ドル。これもイギリスの植民地としての発祥から。そしてユーロ。これは誕生間もないが、政治的な意味合いが強い。

余談となるが、ポンド、豪ドル、ユーロの表示方法は、例えばポンドが

GBP/USD

となり、取引通貨がポンド、損益通貨が米ドルとなり、円とは反対になることになる。

為替バブル?

バブルというのはマーケットが本来の価値を無視して一人歩きすること。一人歩きを後押しするのは”投機資金”。先の円キャリートレードであげた短期の値上がり益狙いの借入金をもとにした資金もそれに当たります。株式市場では信用取引といって、10万円のお金で100万円分の株式が買えるなどの仕組みがありますが、それも同じ。バブルの崩壊過程ではこれら投機資金が崩壊を加速します。先に示したブレークイーブンポイントを超えると売らざるを得ないからです。それが”売りが売りを呼ぶ展開”を招きます。

一方、この投機資金が逃げ出したあとに、マーケットの崩壊にさらに加速をかけるのが投資の資金。ここでの投資資金というのは短期値上がり狙いの資金ではなく、長期的な視点から入ってきている資金源。

今回の短期間での円ポンドの急落がバブル崩壊のきっかけとなるかどうかは、この長期的な視点から入ってきている資金源の動きが決め手。それが逃げ出すと1998年から2000年にかけての短い期間に起きた100円近い下落の動きに発展することが考えられるものの、逆に低金利の円を予測して、安くなったポンドを更に買い増しにでてくると、今回の短期的な急落は落ち着きを取り戻します。そして、バブル崩壊の動きには発展しません。

円キャリートレード

2007年2月末から3月にかけた短い期間に見せた突然の241円⇒221円(約10%下落)の動きは、この円キャリートレードの影響によるもの。

それでは円のキャリートレードとは何かを説明します。

円は金利が低いと同時に、簡単に”借りられる”通貨として短期的な値上がり益を狙う投資家のお好みの通貨。ただし、ここでは借入金であることに注目してください。いつか返す必要があります。為替取引という視点から見ると円を借りることは円売り。例えば、ポンドで考えるとポンドを円で売るとポンドが手に入り、円を借金した形になります。借入金利はほぼゼロ。一方、手に入ったポンドは5%以上。日がたつにつれてポンド金利は手に入る一方、借入金利はほとんど支払う必要ありません。この取引をさして 円キャリートレード とよんでいます。円安がずっと続いているとポンド金利のほかにポンドの値上がり益まで手元に入ってきます。それが1998年からのトレンド。

こんな簡単な投資手法があるなんて!

と思うかもしれません。ところが、この借入金をもとにした円キャリートレードは円高に動き出すと手元に入る金利どころか、元本われを簡単に起こします。それがリスクです。そのリスクを承知で短期の値上がり益を狙った為替売買をしているのです。円高になるとある時点で自分の円借入がブレークイーブンポイントに差し掛かります。ブレークイーブンポイントとは損得ゼロのポイント。それを越えると短期の値上がり益が値下がり損となることから、円高が進んでくるとポンド売り、円買い戻し(借入金返済)の動きが加速します。この円高が続けば続くほどその動きが加速します。ある種のパニックとなり、円キャリートレード組がみんな飛び降ります。それが今回の円ポンドの大きな動きの背景。

円ポンドの歴史

円ポンドは上下波乱の経歴があります。ここ10年に話を限定すると

1995年5月 128円 ⇒ 1998年9月 241円 (約3年半の上昇、上昇幅113円)
1998年9月 241円 ⇒ 2000年9月 148円 (約2年の下落、下落幅93円)
2000年9月 148円 ⇒ 2007年1月 241円 (約6年の上昇、上昇幅93円)

約100円の動きを2-6年の周期で繰り返しています。現時点を見ると、ここ10年の高値圏にあることが分かります。イギリスに長く滞在している方は、前回の1998年の為替レートを覚えているかもしれません。それを覚えてなくても、イギリスで日本から輸入された車をよく目にするようになった時期を覚えていると思います。日本からの輸入車はナンバープレートがイギリスの横長に対し、正方形に近いものになるので”目立ちます”。

さて、何故ここで車の話になったかというと理由があります。それは、購買力平価 と呼ばれるもの。日英同じものだったら関税などを別にしたらポンド換算でそれほど値段が変わることはありません。仮に、1時期でも両国にてポンド換算の値段が大きくはなれると、安いところから高いところへのものの動きが発生します。それに伴って、安い通貨が買われ、高い通貨が売られます。1998年に起きたのは、日本の車が関税、輸入にかかる船賃を差し引いてもイギリスの半額の値段になったこと。イギリスから日本に出かけ、日本で車を買いつけ(ポンド売り、円代金支払い)、車をイギリスに持ってくる動きが”加速”しました。これが為替レートが一時期的に大きくバランスが崩れたときに”自然に”起きる経済現象。それにより、為替レートの行き過ぎが修正されます。

為替レートの動きを読むということは至難の業。一方、この購買力平価の尺度を使うと、自分でも現在のポンドのレートが行き過ぎたものか、適正なものかある程度の判断が付くと思います。

日経平均と円

日経平均と円がどんな関係があるのだろう?と不思議に思う人が多いと思います。

しかし、”投資”という視点からみると株式も外貨も同じ投資家からのもの。同じ投資家が1つの投資資産を売り、他の資産に乗り換えたりすると、売られた資産は下がり、買われた資産は上がり、というように自ずと密接な関係があります。これら投資家が外貨を買うときは、例えば円をドルに換えて米株式、米債券、米不動産を買うとき。特に過去10年のうちかなりの期間安値をさまよっていた日経平均が上がってくることは、資産の乗り換えなど資金の新たな動きを喚起します。

具体的に日経平均が上がってくるとどのような効果があるかというと、投資家の株式投資している資産の資産価値が上がります。この効果は”リスクアペタイト”が上がる、というように表現されます。アペタイトというのは”食欲”、つまり今までと違い食欲が出てくるということ。食欲が出てくると自ずと活動が活発となり、かつてと打って変わってりリスクに対して許容度が上がってきます。投資においてもっとリスクを取ろう、という姿勢が出てくると外貨資産への投資が始まります。外貨資産は同じ株式でも為替レートが絡む分だけ一般的にリスクが高い投資とみなされます。

したがって、日経平均の上げは外貨資産への投資という流れを加速。逆に、日経平均が下がってくると外貨資産からの逃避という流れを加速するともいえます。2007年2月から3月のポンド円の動きと日経平均の動きをみると、そのカラクリがよく出ています。日経平均が大きく下げた日は円高が大きく進み、日経平均が多少戻すと円安が進みという関係が浮き出ます。この関係が強いときと、比較的弱いときとありますが、円の行方を見るうえでは1つの指標となります。

2007年3月12日月曜日

夏時間

アメリカは早くも夏時間入りしている。

いつもより1ヶ月程度早い。イギリスは3月末の日曜日と決まっている。アメリカが早めに夏時間を始めた理由は簡単。原油高からくる電力料金高を助ける為。欧米各国で行われているこの夏時間、いまだ日本は導入の気配がない。様々な理由があげられているが、通常行われている夏時間に更に輪をかけている国があるのであれば、十分考慮に値するし、その時期に来ていると思う。

日本では社会的、経済的なバランスをどこで取るかがあまり論議されないで感情的な論理で物事が決定されることが多い。サラリーマンの労働時間が夏時間を導入することで本当に増えるのだろうか?夏時間導入でよく出てくる反対論である。世界各国(米国除く)が二酸化炭素削減を掲げて政治課題の1つとしてエネルギー問題を考えている中、日本も感情論抜きの論理的な根拠から夏時間導入を考えるポイントに来ていると思う。海外に暮らしているとその恩恵がよくわかる。

2007年2月14日水曜日

英国ダイジェスト

イギリスにはいくつかの日本人向けの新聞、雑誌がある。週間ベースの発行になるので新聞と呼んで差し支えないと思う。為替屋の広告を載せるうえで発行部数、ターゲット層を聞いたりする。広告を載せる上で為替屋のビジネスがターゲットとしている層が読んでいそうなところを選ぶためである。

まずは新聞内容から。これは読んでいる層を大きく決める。発行部数、人気度からいって英国ダイジェストとジャーニーが二分する。どちらも発行部数は1.5万部程度と同じ。最近ジャーニーが在英の長い熟した層をターゲットとする記事を掲載してきている。以前は、若者向けがジャーニーで若者ではない向けが英国ダイジェスト。結果、英国ダイジェスト離れが起きている。配布される先にいってもジャーニーはないが、英国ダイジェストは残っているといった状況。英国ダイジェストは”お株”である記事をジャーニーから奪われ、読む層どころか広告主まで離れてきている。端的に分かるのは広告を掲載している会社数。ジャーニーはほぼ3倍。先週にいたっては、英国ダイジェストに限り常連であるJAL、ANAがない。一方、ジャーニー、そのほかの中小の新聞はJAL,ANAが掲載している。常連も離れている。

オンラインの広告申込みに関しても英国ダイジェストはひどい。クレジットカード決済をさせるEコマースでありながら、入力情報を保護、暗号化するSSLがない。みんなこれを使っているかどうか分からないが、クレジットカード情報をこれで送ると簡単に盗まれる。指摘したが、全く反応がない。つまり、分かっていないか、やるつもりがないか。一方、英国ダイジェスト自社の求職の広告が目立つ。これは社員がやめていっている証拠。私が簡単に調べた範囲でさえ、ここは危ないと思ったわけであるから、社内の人間は更に良く知っているはず。船が沈む前に脱出していることが考えられる。

2007年1月31日水曜日

日本からの移住

為替屋の運営上いろいろリサーチする機会がある。

海外への送金、海外での銀行システム、海外での暮らしなど調べているうちに、結構日本からの移住をサポートするサイトが目に付く。確かに、”夢”はあるがReality checkが必要である。誰でも移住できるほど簡単なものではない。特に、先進国と呼ばれるところにはそれ以外の国からの移民が大量に押し寄せている。多くはすでに社会問題、政治問題化している。10年前に比べたら”移住”に対する環境は悪化しており、これから先も悪化の一途。これが第一のポイント。とはいえ、会社ベース、資格をすでに持っている個人にとってはプロセスさえ踏めばそれほど難しいことではない。移住に対する環境の悪化は、学生ビザなどで入ってそのまま居座るということが難しくなっているということである。

移住は夢であるが、先ほどのReality checkをしてみることが肝心。

多少裕福な人は税制、健康上心配な人は医療、年取っている人は年金、若い人も年金が2国にまたがることになるので関係する、子供の教育、言葉はいうまでもない。もっとも簡単な手は、駐在員でどこかにいって、生活ベースを築いたところでその当地で辞める。そうでなければ、若いうちから(子供がいないうち、独身時)計画を立て移住希望地の大学を出て、その地での資格を取るなどが周りを見ているとベストなパターン。イギリスでは会計士、医者など。国際的に通じる資格はそれ以外に看護婦、医療技師、教師なども。英語ができることは必要条件。料理人も。募集も結構あるし、腕さえあれば英語は関係ない。ビザなんかも手配してくれるところが多いだろう。これらのものに一切関係なく、自分自身の職業自体も特別技能、技術があるものでないときはほとんど移住の実現は難しい。

2007年1月27日土曜日

イギリス変り話

イギリスにも日本人社会がある。かつては駐在員中心であったが、現在はかなり留学生が増えている。イギリス全体で日本人5万人程度いる中、留学生が1.6万人もいる。それでこんなものが始まったのかどうかは分からないが、日本にいる人には興味深い変り話がある。

為替屋の広告を載せるためにロンドンの日本語の雑誌を使っている。ここ2-3年気づいたのは、医療のテスト(人体テスト)を行う会社が増えていること。広告も一面広告。その出し方も若者が”ボランティア”で出ているがごときの広告方法。これは全くボランティア精神とは程遠い。何のボランティア?どうも日本で出来ないようなことがこの国では出来るようで、それを利用して日本人の健康な若者だけに絞って人体実験をしている。みんなイギリスのニュースなど見てないんだろうな?去年、ドイツの医薬会社の行ったこの”医療実験”でみんな死に面した状況まで発展したこと。大きく報道され医療実験に一石を投じた。それがあってから更にその日本人向けの医療実験広告が増えた。ここ最近はロンドンで2大日本人向け雑誌である、英国ダイジェスト、ジャーニーがほとんどそれらの広告で埋まっている。中にはわざわざ特集したところまである。金がばら撒かれている証拠。いくら生活コストが高いロンドンといえど、若者にはもっとConsequenceを知ってから、人体実験に申し込んでほしい。それとこれはボランティアではないこと。マーケティングスピンであることもよく知ってほしい。

日本人の英語とオフショアバンキング

日本ではオフショアバンキングが流行と聞く。外貨預金がはやっているんだったらそれほど驚きでもない。外貨預金は銀行にとってドル箱。だからみんなやっている。1つは為替レートでかなり収益があがる。あのスプレッドだったら確かにそうである。みんなわかってやっているのかどうかわからないが、外貨預金といってずっと外貨にしているのであれば出ている金利が入るが、円に交換したとたんにケースによっては円金利と変わらないパフォーマンスになること。話を戻すと、こんどは外貨預金の金利。例えばポンド預金。こちらでは5%程度が当たり前。それほど苦労しなくともまともな金融機関がそのレートを預貯金レートで提示している。日本の外貨預金ではこれがかなり低い。つまり、為替レートでズボッとぬかれ、金利でズボッとぬかれダブルパンチを受けたうえで外貨預金をやっていることになる。幸いなことに、円は弱い。でもこれが生涯続くとは限らない。

ここからオフショアバンキングの話。だから、日本からオフショアに金が逃げ出すことが良く分かる。オフショアは競争力のある金利を提示しているし、サービスもいい。今日紹介することを始めたアビーインターナショナルもその例。自分は15年前から使っている。人には紹介したことがなかった。日本の外貨預金の往復ビンタ型の扱いを受けると、日本から開けるポンド預金口座としてこのアビーが光って見える。一部であろうがいい加減頭にきた人、やっと分かって頭に来た人が少しずつ資金を流出させている。日本の金融機関は横並びだから、アビー並のサービスが出来るだろうがそれはやらない。横並び、イコールカルテル価格。カルテルはみんなが守るからこそ利益を生む。誰もをれを自分から変えようとは思わない。Unless,外的要因が働かない限り。それがない。規制に守られている面もある。

さて、このアビーの口座を開いてやっと円資産からの分散を始めた人たちがぶち当たる現実は、”英語”。読むのは多少出来ても、話さざるを得ない状況はたくさんある。今日聞いた話ではカードを使えるようにするために電話でActivateする時。便利な口座は開いたが、今度は英語。それも”電話”での英語。目の前にいると身振り手振り、以心伝心、何かが助けてくれる。相手が助け舟を出すことも簡単。ところが日本人の”有名な”RとLが区別されない英語で電話というのは、相手にとっても一寸先が闇の状況でロックコンサートのど真ん中にいるようなもの。理解できない。日本から資金を脱出させたのはいいが、その先はなかなか日本のようにはいかない。その経験から日本へ逆戻りはしてもらいたくないものであるが。。。。。

銀行後進国アメリカ?

為替屋のアメリカ進出を考えていろいろ策を練っている最中。この中でのワンエピソード。

銀行後進国アメリカ?

アメリカと聞き何を連想するだろうか?行ったことがある人、アメリカで働いたことがある人、別々の反応があるに違いない。知らない人は先進国、テクノロジーも進んでいると思うだろう。銀行システムに関しては全く逆。知っている範囲では日本、イギリスの10年前の状況。端的な例を挙げると、日本、イギリスでは当日の電信振替は当たり前。オンラインで200-300円程度で出来る。アメリカはこれが普及していない。それでは日常の支払いを何を持って行うのかというと、小切手である。小切手というのは面倒くさい。紙であることからそれをお金にすり換えるシステムが必要となる。物理的に処理されることになる。イギリスにも小切手はあるがいまはほとんど銀行カード(キャッシュカード)が使われていて、電子処理をもって行われている。驚いたのはアメリカはこの小切手が戻ってくること。戻ってくるというのは本当に自分の銀行に戻ってきてそれが手元にコピーとて届いたり、インターネット上で自分の銀行口座にログインすると見れたりする。でも何故それが必要なの?というのがイギリスからの自然な疑問。イギリスではいったん振り出した小切手は行きっぱなし。振り出した先が当然現金化するだろうということ。それが小切手の使い方。返ってくるとか、それが自分にコピーとして戻ってくるとか何故必要なのか全く理解でいない。その分だけいらぬ処理、人が関わり、銀行のコストが増す。そのコストは預金者が払っているわけで、ここからがその話。国内からの振込み入金があるとお金がかかる!?日本、イギリス共に聞いたことがない。これがアメリカはかかる。小切手を使わせることでコストがかかるから、小切手はすぐに口座の残高に入ってこない。この効果は、その間銀行は金利を稼げることになる。小切手がいまだに主流なものだから支払いがオンラインで行っても出先は小切手。説明するとオンライン料金支払いサービスというもの。イギリスだとオンラインで確かに電気料金、ガス、水道簡単に支払いが出来る。直接支払う電子処理。アメリカもこれだと思って使ってみて仰天。オンラインで支払いを手続きするとその先で小切手が発行され(一応自動)、これがなんと郵便となってあて先に配達される。電子処理に程遠い。この間銀行はどうかというと、小切手発券銀行は郵便が届くまで金利が入る、小切手を受けとった銀行はどうかというと、小切手が現金にすり替わるまで金利が入る。電子処理には出来ない理由あり。この金利は動く資金の額を考えるとバカにならない。でもこんな状態いつまで続くの?これが為替屋がイギリスと同じような同日送金が出来ない理由。みんな不便に思ってないのかな?